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「天皇はなぜ殺されなかったのか?」という外国人の質問に困ってしまった。

 

先日、香港人と一緒に和歌山城へ行ってきた。

 

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和歌山は大阪や京都が混みすぎて、あぶれた外国人の受け皿になっているらしく、意外にもたくさんの外国人がいた。

 

そこで香港人に聞かれたのが

 

「なんで将軍は天皇を殺さなかったの?」

 

という質問。

和歌山城の中には色々な歴史資料が展示してあって、和歌山城が豊臣によって作られ、関ヶ原の戦いのあとに、徳川のものになったとの説明があった。

僕が中学で停まってしまっている、なけなしの歴史の知識を使って、徳川家康が日本を平定した"Shogun"であることを教えてあげると、

 

「"Shogun"と"Emperor(天皇)"の違いは何か」

「"Emperor"はどこの城に住んでいるのか」

 

そして

 

「なぜ"Shogun"は"Emperor"を殺さなかったのか」

 

という、タイトルの質問が飛んできた。

 

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全く分からないから、その場でスマホで調べてみるものの、それでもハッキリとした答えは分からない。ただひとつ分かっているのは、天皇は権力者と言うより神に近い存在だということ。実際、神話では天皇の先祖は天照大御神ということになっている。

 

だから香港人には、

「天皇はただ単に偉い人じゃなくて、"God"なんだ。だからどんなに偉い人も天皇を殺さなかった。」

と説明すると、

 

「え?どう見ても人間でしょ?」

 

と返されてしまった。そしてさらに

 

「天皇が神だと1000年以上も信じてきて、今もなお、そうだと信じているのか?」

 

と尋ねられ、本当に困って何も言えなかった。

中国では"Emperor(皇帝)"が滅ぼされるということは歴史上何度も起きているし、国を統一した人間が、旧制度の皇帝を滅ぼすのは合理的なはずだ。だから外国人が日本の歴史に疑問を持つのはもっともだと思うし、「なぜ将軍は天皇を殺さなかったのか」という疑問を今僕も感じている時点で、現代人の僕自身も彼彼女らと近しい感覚を持っていることになる。ただ一方で、日本人である僕は天皇が単なる人でなく、神に近い存在だということもなんとなく理解することができる。これはきっと外国人には難しい。

 

僕は興味があって、最近よくニュースになる中東問題の本を読んだりネット上の報道をよく見るんだけど、イスラム教について異教徒かつ日本人の僕が理解するのは本当に難しいと感じる。ただそれと同様に、日本と天皇の関係、そして日本人の行動原理は、世界中の人の目に奇異に映っているに違いない。

 

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外国人の質問というのは日本人が当たり前だと信じていることが、実は奇妙なことだということを浮き彫りにしてくれることがよくある。ただそれについて上手く答えるのは非常に難しく、それだけに考え甲斐のある問題なんだと思う。

 

ああいう質問が飛んできてもさらりと答えられるようになるような教養を身に付けたい。

司馬遼太郎や柳田国男でも読めば少しは分かるようになるのかな。

 

そんな感じ。

 

おしまい

 

 

この国のかたち〈1〉 (文春文庫)

 

 

日本人とは何か。―神話の世界から近代まで、その行動原理を探る (NON SELECT)