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居酒屋とは、本を読む場所である

 

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25年ほど生きてきて、最近ようやく「居酒屋とは、本を読む場所である」ということに気付いた。"酒飲み"∧"読書好き"というアイデンティティを持ちながら、この事実に今の今まで気付かなかったということは恥ずかしいことで、恥ずかしいことはできるだけ誰にも知られないように、心は激しく動揺していても何食わぬ顔でやり過ごすのが一般的なふるまいだと思う。しかし、どうやら多くの人は居酒屋が読書をする場所に最適な条件をほとんどすべて兼ね備えているということに、未だ気付いていないようで、酒と読書を愛するすべての同胞のために、恥ずかしい思いに耐えながらいかにして僕がこの考えに至ったか、その経緯について説明したいと思う。

 

 

僕が居酒屋で本を読みはじめた経緯を説明する。

基本的に酒と読書が交わるということが人生の早い段階で起こることはない。僕もお酒は大学時代から好きだったし、本は小学生のころからよく読む方だった、それなのに僕の中で"お酒"と"本"が"居酒屋"で出会って肩を組んで意気投合し始めたのは最近のことになる。

 

まず第一段階として、酒飲みの友達がいる。その友達と飲み歩くにつてれ、酒を飲みはじめるのに最もふさわしい時間は昼下がりだと、世界はそういう風にできているのだと、確信を持つようになる。

そして初めはちょっと小さな居酒屋に行くのもビビっていたのが、天満の中心(大阪の飲み屋街)で「昼酒さいこー」と叫んでしまうようなダメな酒飲みに昇華していく。

しかし友達と酒を飲んでいる限りは、まだ居酒屋で本を読むという発想には至らない。重要なのは、ここで昼に酔っぱらうことの抵抗がなくなると、高速バスの待ち時間や新幹線に乗る前にちょっと一杯飲んでこうかという気分が出てくるということだ。

 

「どうせバスで寝るだけだし」

「昼飯がてら居酒屋に行くのもいいよな」

「最近はビールが主食」

 

僕は長らく大阪に住んでたから、梅田のヨネヤにはお世話になった。

 

 

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昼間のバスで実家に帰省する際は、ここの立ち飲みスペースで1リットルジョッキのビールを飲んでた。そしてここは串カツも美味しい。

大阪は午前中からやっている居酒屋が多い。僕はこの理由について大阪は他の地域に比べて知的な人間が多いからだと思っている。知的労働にはビールとドクターペッパーが欠かせないということは今や常識だけど、その象徴が梅田駅で朝9時に開店し1リットルジョッキのビールを提供するヨネヤなのだ。

 

そうやって昼に一人で酒を飲むことに慣れてくると、今度は「今日予定なくて暇だし、居酒屋でも行くか」というような感じで、ごく自然な発想で居酒屋に足が向くようになる。そこで昼間の居酒屋にいるのは、居酒屋で文字を読むことの愉しさを知っている"ワンランク上"の酒飲みである。基本的にはおっさんが競馬新聞や週刊誌を読みながらビールを飲んでいるんだけど、黒いハットに黒縁メガネのお兄ちゃんがカバーの取れた村上春樹の「中国行きのスロウ・ボート」を読んでいることもある。

そこで本を読み始めると酒飲みで読書好きの全ての人間は「幸せとはこのことだったのか」ということを悟り、人生はようやく”第二段階”に突入する。

 

ここまでが僕が経験した一連の流れである。

 

 

 

 

最後に池袋にある三福について紹介したい。

 

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ここはまさに僕が悟りを開いた地であり、僕が悟りを開いたということは長い歴史の中で多くの人が悟りを開いてきた場所であり、悟りを開くという点で釈迦が悟りを開いたインドのブッダガヤに匹敵する聖地である。

 

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ここは何といってもやきとんがおいしい。おすすめはコブクロ。理由は脂っこくないから、いくらでもパクパク食べられる。

 

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美味しすぎてコブクロの注文待ち中に追加でコブクロを注文してしまうということが、朝起きて歯をみがくくらい日常的に起きてしまう。ちなみに注文は適度しなければならない。居酒屋ではカフェのようにコーヒー(ビール)一杯で粘ることはマナー違反である。まあ、このコブクロを前にしてビール一杯で粘ることは不可能なのだけど。

 

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あとここのモツ煮が恐ろしくおいしい。モツ煮といえば味噌が一般的だが、ここのモツ煮は塩がベース。写真は「なか豆腐」というモツ無しの豆腐だけ(実際は少量のモツ入り)のメニュー。モツはやきとんを食べるといいという考え方からこっちを注文するのが定番の流れとなっている。

 

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飲み物に関してだけど、ホッピーを頼んで焼酎だけ(中身)のお替りをしてるお客さんをよく見る。僕は基本はウーロンハイか焼酎お湯割り梅干し入りを頼む。美味しい日本酒も好きで、日本酒バーみたいなところに足を運ぶこともあるけど、最近はこういうお酒の良さをしみじみと感じている。地酒特有の美味しさと定番アルコールのおいしさの違いは最近よく考えることで、これについても掘り下げると記事が一つ書けてしまう。

 

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年季の入った居酒屋にしては小洒落たメニューも用意してある。

そのせいなのか、たまにカウンターで女の人がひとりで飲んでいる場合もあって、そういう想定外の事態が起こると、悟りを開いた紳士たちといえども急に浮足立って、ざわ・・・ざわ・・・となり、途端に落ち着きを失ってしまう。そうなればもはや読書どころではない。そんなこともある。

 

 

最近はカフェで酒を提供しようという動きもあるらしいが、この思想は基本的に居酒屋読書と同じであり、居酒屋で本を読むことが一歩先の時代を行っているということが示されてしまった。居酒屋読書万歳

 

そんな感じ。

 

おしまい

 

 

yoshida-lab.hatenablog.com