現在、中央アジアはキルギスの首都、ビシュケクに来ている。
旧ソビエト連邦といえば飲酒大国。酒飲みにとっては天国。
ビールは1.5L で200円程度。ウォッカも1瓶200円程度。
いくら飲んでも全く懐が痛むことはない。
そしてここには究極の酒のつまみ"サーロ"がある。
サーロというのは豚の脂身の塩漬けで、市場に行けばこんなふうにどこでも売っている。
赤身と脂身の割合でバリエーションあるみたいだけど、基本的には脂身の割合が高いものが標準的なものだと思う。
店の前でサーロを眺めていると、おばちゃんが「試食するか?」と言って薄く切ったサーロを食べさせてくれる。
これは赤身と脂身が半々のもので、外は唐辛子でコーティングされていた。
いうまでもなく、うまい。
バザールはこんな感じで活気があふれており、ぶらぶら歩いているだけでも十分楽しめる。日本でも市場は定番の観光地のひとつだし、どの国へ行っても庶民の台所を覗いてみるのは下手な観光地へ行くより数段面白い。
別の店ではお兄さんが気を利かせて、サーロを薄くスライスしてくれた。
これは胡椒でコーティングされた、脂身が多いサーロ。
帰ってから、サーロと一緒に酒を飲むつもりだったのに、帰り道、酒を我慢できずにクラフトビール(?)の店に寄ってしまった。サーロを持って歩いているせいで、酒を飲みたいという衝動が抑えきれなくなった。
ここは綺麗なお姉さんがビールを注いでくれる素晴らしい店。
この人、不愛想でツンとしていてほとんど笑わない。
おまけに、キリル文字で書かれたメニューが読めない僕がオロオロしていると、早く選べよ、という無言の圧力をかけてくる。
だが、それがいい。
大きなプラスチックカップに入れてくれて、お値段なんと99円。
これをちびちび飲みながら帰路に就く。
買ってきたサーロがこちら。
大きいのが250円ほど。
小さいの二つがそれぞれ150円くらい。
塩分高めで味も濃いので、これだけあれば1週間毎日飲んでも消費しきれない。
これを薄くスライスして食べる。
少々見た目は悪いけど、これが涙が出るほど美味い。麻薬的な美味さ。
ひとたびサーロを食べると酒が止まらない、酒を飲むとサーロが止まらない、という無限ループに突入する。サーロ、酒、サーロ、酒、サーロ、s...
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旧ソ連は物価も安いし、酒も驚くほど安い。ついでにタバコも激安。そして何よりサーロがある。
僕が行った中でおすすめはジョージア(グルジア)とウクライナ。
どちらも物価は安く、その割には首都は結構利便性が高い。街並みも中央アジアよりはヨーロッパ風でおしゃれ。(特にウクライナ)
最後に、サーロは旧ソ連圏で燻ぶっているような食べ物ではない。
いつかサーロが日本でも普通に食べられる日が来ることを切に願う。
ビシュケクの Sierra Coffeeにて